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第二章 関東の漁業の夜明け

2−3:外房は鰯の宝庫


鰯は種類が三十六種類もありますが、大きく分けるとマイワシ(ニシンか科)、ウルメイワシ(ウルメイワシ科)、カタクチイ ワシ(カタクチイワシ科)のいずれかです。 そのいずれもが小型で、世界中の水温一〇度から二〇度の海の表層から中層を、大きな群れを作って回遊していま す。動植物プランクトンを主食しています。 スマートな体型に似ず泳ぎのスピードはのろく、時速三.五キロで、人が歩く速度と同じかやや遅い程度です。

 鰯は鰹、マグロ、鯖、ブリなどの大魚の絶好のえさで、それらの大魚の群れに追われると、海面に鰯が固まって集まるために鰯で褐色になったり、さざなみが立ったり、はねたり、白くあわ立ったりします。
 鹿島灘から九十九里、外房、南房総の海は、日本海流(黒潮)と千島海流(親潮)の寒暖両海流の交わる地点で、プランクトンが沢山発生します。鰯の群れはプランクトンを追って季節によって南下と北上を繰り返しています。

 秋から冬にかけて、鹿島灘沖から犬吠埼沖を通って九十九里浦に入った鰯の群はスピードが早くなり、網にかかり易くなり、文字通り九十九里沿岸は鰯の手付かずの宝庫だったのです。
   
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