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第八章 鰹節と醤油の製法を伝えた紀州海民

8−2:紀州甚太郎

現在一般に使われている堅くて変質せず、美味しい味を出す薫製の鰹節を最初に作り出したのは紀州の漁師甚太郎でした。

 彼は紀州宇佐浦から漁に出て強風に吹き流されて、土佐(高知県)に漂着しました。そこで土地の商人播磨屋佐野助の後援を受けて鰹節を大改良しました。

 彼は長期保存を主眼に、かごに並べた鰹の切身を薫製室の棚に載せ並べて、楢や樫などの薪を燻して幾日も大量の煙を発生させて、鰹の水気を完全に取り去りました。 

こうして出来上がった鰹節は、鰹のうまみがいっぱい詰まった、見事な味と香りのする、堅くて変質しない鰹節でした。これが作られたのは延宝二年(一六七四年)だそうです。

従来の品はいわゆるなまり節で、主として副食物として使われていましたが、甚太郎の作った改良鰹節は、日本料理の調味料の王様として、京、大坂、江戸で大評判になり、日本料理の味を格段に高めました。

今日の化学調味料も改良鰹節にはかないません。

   
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